【検証】ノーバウンドで地球1周させるには何km/hで投げればいい?

科学

はじめましての方は初めまして。

違う記事から来た方はいつもありがとうございます。

qwertです。


qwertはYoutubeをよく見る。そのジャンルの中には流行り廃らないように頑張っているVtuberもある。最初に見たときはついにここまで来たかと思った。バーチャルに歌わせるVocaloid・UTAUがあって、バーチャルに出演するVtuber。日常生活拠点が現実からバーチャルになる世界が近いかもしれない。

さて、Vtuberのおめがシスターズさんの動画で以下のものがあった。

理系であるqwertの琴線に触れるものがあり、内容も興味深く拝見できた。

それでふとこの結果が物理式的に整合性があるものなのかどうかを検証したくなった。

なので、やってみる。

理論式からの算出

使う物理式

高校物理ではおなじみの水平投射する物体の運動方程式から考える。
つまりは基本方程式は以下である。

x方向について
$$x=v_{0}t$$

y方向について
$$y=-\frac{1}{2}gt^{2}+H$$

$$x:進む距離,v_{0}:初速度,t:時間,$$

$$g:重力加速度,y:高さ,H:初期高さ$$

計算結果

”ノーバウンドで地球1周”ということは、y=0になる時間までに、x=L=地球一周分(40075km)になればいい。
高さ:Hの前提は 100cmにしとく。170cmのピッチャーが振りかぶって投げるとこのくらいの高さだろう。マウント高さを考慮しない。
重力加速度は9.8m/sec2で計算しよう。

ここまで前提をおけば、あとは当てはめて代入するだけ。
y方向の式から、 y=0になる時間は約0.45秒。「い~ち」と数える前に地面に落ちるようだ。

x方向の式から、約3.21×108km/h、時速3億2100万キロメールで地球一周することになる。人の目からは、まさしくレーザービームだろう。(まあ、光速は時速10億くらいだが)

比較結果

ネタばれになるので、動画を見てから読んでほしい。

おめがシスターズさんの検証結果では

・・・

めちゃくちゃ違う。

何かの前提が違うのかと思い、確認した。
おめシスさんの結果を見ると、時速8400万km/hで40133.33km進んでいたため、時間は1.72sec必要ということになる。

その情報から高さ:Hの前提を逆算すると、 約14.5mになった。
斜めに投げている様子もないし、まさかボールの回転による揚力を計算しているとも思えない。

やはり、そもそもの高さの前提が全然違いそうだ。

動画では2人の胸のあたりに装置があるが、VR空間なので何かしらの幻が映し出されているのかもしれない。

空気抵抗を入れるとどうなるか?

動画の最後に

風とか空気抵抗とかもね加味したら、ちょっとまた変わってくるかもしれない

オメガレイ

と言われていたので、ついでに空気抵抗有だとどうなるか見てみた。

空気抵抗は、物体の速度あるいは速度の2乗に比例する力で、進行方向とは逆向きにかかる力として、運動方程式で考慮した。ちなみにy方向は変わらないとした。

空気抵抗が速さに比例するとき

速度が遅い流れや層流などでは抵抗は、粘性抵抗だったり摩擦抗力だったりで呼ばれ、速度に比例するらしい。

$$F=6πaηV=α\frac{dx}{dt}$$
$$a:半径,η:粘性係数,α:空気抵抗の係数 $$

よって、運動方程式はx方向の式は以下のようになる(細かい導出は下記)。

$$x=\frac{mv_{0}}{α}(1-e^{-\frac{α}{m}t})$$
$$m:質量$$

半径:aと質量:mは硬球野球ボールを想定して,a=37cm,m=145gとする。 また、粘性:η=1.8×10−5 Pa・sとする。

ここからαを計算すると、1.25×10-5になるので、影響はほとんどない。つまり、値も大きく変わらない。(一応計算したが、変わらなかった)

空気抵抗が速さの2乗に比例するとき

速度が速い流れや乱流などでは、抵抗は、慣性抵抗だったり圧力抗力だったりで呼ばれ、速度の2乗に比例するらしい。

$$F=\frac{1}{4}πρ_{0}a^{2}V^{2}=α'(\frac{dx}{dt})^{2}$$
$$ρ_{0}:密度 ,α’:空気抵抗の係数 $$

運動方程式はx方向の式は以下のようになる(細かい導出は下記)。

$$x=\frac{m}{α’}ln(\frac{α’v_{0}}{m}t+1)$$

密度:ρ0を1.2kg/m3として同様に計算すると、α’ =0.0013。影響は表れそうだ。

実際計算してみると、光速を超えてしまった。
つまり、不可能ということだ。それが証明されてしまった。

おわりに

整合性確認結果としては、前提が違うというところで、値自体は合わなかった。逆に言えば、前提条件がそろっていれば合うので、オメガシスターズさんの答えも今回qwertが出した答えも正解ではあるだろう。

前提って大事。

久々に微分方程式を解いたが、案外解けるものだなあと思った。無駄ではなかった大学時代に想いを馳せつつ、誰かの何かになれば幸いです。

※空気抵抗での参考URL
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%97%E5%8A%9B
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B2%98%E5%BA%A6
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%BA%E6%B0%97

コメント

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